Our Daughters and Sons (和訳)

この文章は、アメリカのPFLAG(レズビアン・ゲイの親、家族、友人の会)の小冊子を日本語に訳しました。(まだ途中です。)英文冊子はこちらです。(PDF)

●我が子がゲイである事を初めて知ったとき、一体どうすれば?
●我が子はもう以前の我が子ではないの?
●なぜ話してくれたの?
●なぜもっと早く話してくれなかったのか?
●なぜ我が子が同性愛者に?
●どうして我が子の性的指向を理解できなのでしょう?
●心理学者や精神科医に相談するべき?

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●我が子がゲイである事を初めて知ったとき、一体どうすれば?

多くの親達は我が子からの告白「お母さん、お父さん、僕は(私は)ゲイなの。」には戸惑い、きっと最初のリアクションは「一体どうすればよいのだろう?」といったものでしょう。

Parents, Families and Friends of Lesbian and Gays (PFLAG (レズビアン・ゲイの親、家族、友人の会))  が存在する理由はそこなのです。この小冊子があなた自身の子どものセクシュアリティーとその意味を理解する手助けとなり、今後の親子関係の継続に意味のあるものとなればと思います。私達も今貴方が感じているものと同じ気持ちを感じていたのです。だから分るのです。

あなたは決して1人ではないのです。ある統計によればわが国でもそして世界中で10人に1人がゲイであると言われています。これは、4家族に1つの家族メンバーの中、もしくは直系でなくとも親族の中に少なくとも1人はゲイ、レズビアン又はバイセクシャルがいるという事なのです。

つまり、たくさんの人たちがあなたと同じような思いを持っており、話し合える仲間は多くあるのだという事を知ってください。その思いを語り合う事がいかに大切であるかという事は私達が身をもって経験しそれは非常に重要な助けとなるのです。方法は本であったり、電話での相談ホットラインであったり、関連するウェブサイトあったりとさまざまですが、互いの経験、思いを分かち合う事がより深い理解と未来への一歩を踏み出す勇気となるのです。PFLAGを通じてあなたが今必要としている情報、サポートサービスを得ることが出来るのです。

二つ目に大切な事、それはあなたが望むのであれば、この度の経験はあなたの子ども達とより強く、より深い関係を築く礎となるのです。簡単ではありませんが、私達経験者の多くはこの事実を実感しているのです。

中にはこの状況をなんなく乗り越えられる親もいます。しかし多くの親達はこの状況を、ショック、否定、怒り、罪の意識、喪失感などの伴う深い苦しみと共に乗り越えてきました。つまりあなたが今こういった思いをかかえているとしても不思議な事ではないのです。それは私達の暮らす社会自体がゲイ、レズビアンそしてバイセクシャルに対して持つ態度そのものなのですから。

今感じている気持ちを否定する必要はないのです。 我が子を愛しているのだから、子どものため、自分自身の為にも彼らのその気持ちを受け入れ、理解し、支援していきましょう。

たとえ我が子を失ったような思いを持ってしまったとしても、現実にはそうではないのです。あなたの子どもは昨日と何ら変わらぬあなたにとっての宝なのです。あなたが失ったもの、それはあなた自身が抱いていた我が子のイメージにすぎません。この喪失感はとても厄介ですが、あなたが新たに培ってゆく正しい理解によって必ず埋まるものなのですよ。

青春期にある子どもの場合状況はさらに困難であると言えるでしょう。親から拒絶された状況におかれた若いゲイ、レズビアン、バイセクシュアル達は自殺、薬物依存、アルコール依存などを引き起こすケースが数多く見られます。中には親と距離をはかることで自分自身を守ろうとする場合もあるでしょう。

もしもあなたの息子、娘が彼ら自身の決断であなたに「カムアウト」したのであれば、ゴールまであと半分なのです。あなたの子どもは社会的軋轢の中、多大なる勇気を持ってあなたに対し、心を開き素直であろうとしているのですから。逆を返せばそれはあなたへの愛情、信頼の証なのです。

今こそ、そんなあなたの子どもの勇気、あなたへのかかわり、信頼、その愛に答える時なのですよ。


●我が子はもう以前の我が子ではないの?

生まれた頃から日々その成長を見守ってきた我が子ですから、私達親は彼らの事をなんでも知っており、理解していると思いがちです。

そんな時、「ぼくは(わたしは)ゲイなの。」と言われてしまったら、急に我が子が分らなくなってしまうか、時にはそうかも知れないと思いつつも親が親自身の中でその事実を認めない場合が多くあります。告白に対する反応はたいていショックと喪失感でしょう。

子どもに託す夢、将来への期待など勿論誰もがもっているものですが、その夢はあなた自身の体験、生まれ育ってきた環境、文化の歴史から生まれたものなのです。こんなにも多くのゲイが存在する事実があるにも関わらず、いまだアメリカ社会においても親というものは子どもが異性愛者であるという固定観念にしばられています。

あなたの今感じているショックや喪失感といったものは全くもって自然の苦しみの過程であるといえます。子どもに託した夢の喪失、それはあなた自身が作り上げた我が子のイメージ、我が子の事はなんでも分るのだという自負の喪失に他ならないからです。

考えてみれば、それは異性愛者の子どもにしても、同性愛者の子どもにしてもの当然の出来事といえます。子どもは常に親を驚かせてくれます。 例えば、親の望むような相手と結婚しなかったり、親が良かれと思う職を選ばなかったり。彼らは彼ら自身で選ぶ人生を生きてゆくのですから。つまり、私達が生きるこの社会において、親は我が子が因習的ではない性的指向を持つかも知れないという状況を想定しておく必要もあるわけです。

何があろうと、変わらない事実は我が子が我が子であるということ。あなたの子どもはあなたがその性的指向を知る以前と何ら変わりない大切な我が子なのです。変わる物があるとすれば、それは愛する我が子を本当に知る事、理解する事によって変化するあなた自身の夢、期待、幻想なのです。


●なぜ話してくれたの?

親の中には我が子の性的指向を知らない方が幸せだったと感じる人もいるかもしれません。

そんな親たちはこの頃を振り返り気づくのが、その当時見落としてしまっていた子どもとの距離なのです。時に私達は実際に起こってしまった事を否定してしまいます。例をあげてみると、子どもからの告白を拒絶してしまうと「今はきっとそういう時期なのだろう、きっとそのうち元に戻るだろう」となりますし、心を閉ざしてしまう場合は「聞きたくない!」となります、また事実を受け入れようとしない場合は「分った、分った、そろそろ食事にしようか?」と言った受け答えとなるわけです。これらはすべて自然な反応なのです。

しかし、我が子の性的指向を知らない、理解しないという事は我が子を知らず、理解していないという事であり、その場合、その子の生活、人生の過半数は未知のものとなり、あなたが決してその子をいうものを知る事がないという事実なのです。

我が子の性的指向を理解し、受け入れる事が重要なのは異性愛やバイセクシュアリティが決して成長過程における段階や時期的なものではないからなのです。

確かに自分の性的指向を模索するといったケースもありますが、親に自分が同性愛者であるという事実を告白する時子ども達は既にそのステージを越えている場合がほとんどでしょう。通常、性的マイノリティの指向を持つ子ども達は自身の性的指向を理解し、認めるにあたって長い長い時間悩み、考えるのですから。

ですから、もしあなたが彼らに告白を受け、「本当にそうなのだろうか?」と思っているのであれば、答えはおおむねYESでしょう。子どもは親に自身が同性愛者であると告げるに至って、事前に否定的な固定観念だとか理解されなかった時の恐怖などありとあらゆる危険な状況を想定し、それを乗り越えて決断したのです。

あなたへの告白はつまり息子、娘からあなたへ送られる愛であり、あなたからの理解、サポートを受けたいというメッセージなのです。それには多大なる勇気が必要だったのです。それは、あなたに素直に、正直に心を開き、ありのままの自分自身を理解してほしい、愛してほしい、そしてより良い関係を築いていきたいという思い現れなのです。


●なぜもっと早く話してくれなかったのか?

我が子が長きに渡って悩んできたことに気づいてやれなかった事実を知る事は非常に辛い事かもしれません。話してくれなかった、それは自分を信頼していなかったからなのではないか、自分の愛情が足りなかったせいではないのかと感じてしまう事もあるでしょう。何でも分っていると思っていた我が子の事を理解出来ずにいた事、彼ら自身の人生から締め出されてしまっていたという現実と向き合う時心が痛むでしょう。

しかし、これもまた異性愛者、同性愛者どちらの子どもを持っていたとしも親が感じる事の一つであるといえます。子どもが大人になる時、親子の間には距離が必要となる時期があります。あなたへ相談を全くせず、自らの道を進む子どもも中にはいるでしょう。

しかも、こういった場合さらに状況はより深刻です。子ども達が親にカムアウトする事を決める時、それは大抵予測もしないところへいきなりやってくるものだからです。

同性愛者達は往々にして彼らがそうであるという事実を親から隠そうとしがちです。それは彼ら自身がその事実と向き合うため、自分自身を理解する為に長い時間が必要だからなのです。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルの若者達というのは大抵早い時期から自分の「違い」を感じており、それが一体何であるかを分るまでに何年もかかる場合もあるのです。

それは私達の生きているこの社会が同性愛に対して間違った認識を持っており、同性愛者達を怖いものであるという認識をもっている為でもあります。そのため、しばし同性愛者達は自らの性的指向について内面での自己否定や不安感と戦っているのです。ですから中には当然親にその事実を打ち明けられるようになるまで随分と時間が必要な場合もあるのです。親心としては、何でも話して欲しかったと思うかも知れませんが、忘れてはならない事実として、この現実社会の同性愛への扱いとは「聞かず、語らず」であるというところです。

ですから、親として我が子の辛い時期に助けとなれなかった事を悔やむよりも、もっと早く話してくれていれば結果は違うものであったかもしれないと考えるよりも、彼らが早い時期においてそういった行動に出られなかったという事を認識してください。一番大切なこと、それは今我が子が心を開いてくれたのだという事実なのですから。


●なぜ我が子が同性愛者に?

これは多くの同性愛者の子どもを持つ親が抱える疑問の一つです。その理由はさまざまですが、例をあげるとそれは自分が抱いていた我が子という理想像の崩壊における悲しみからくる疑問であったり、育ててきた過程において自分が何かを間違えてしまったのではないかという思いからであったりもします。我が子の周りにいる何者かが我が子を同性愛の道へ引き込んだのではないか?と疑う事もあるでしょうし中には生物学的に何かしらの理由を求める場合もあります。

初めて我が子が同性愛者であるという事実に直面したとき、ショック、否定や怒りなどをあらわにする親たちもいます。一つの例としては「何てことをしてくれたんだ!」という思いです。これらは当然冷静なリアクションであるとはいえませんが、人間というものはショックに対して往々にこういった反応を示してしまうものです。私達はこの反応を嘆きの過程であると考えます。この段階において親は自らの持っていた我が子の理想像が崩れ去る事を嘆いているのです。ですが、この思いとしばらく対峙する事によって見えてくるのは、我が子がした事、それはただ純粋に親を信じ、自身を親に知ってもらおうという行動であったのだとういうことです。

他の誰かが我が子を同性愛の道へ引き込んだのだと思う親もあるかもしれませんし、同性愛者が異性愛者を同性愛へ誘い込むというのはよくある誤解ですが、決して誰かがあなたの子どもを同性愛者に仕立て上げたわけではなく、それは彼ら自身が一番良く分っているでしょう。何者も何者かを同性愛者に変えるなどという事は出来ないのです。

中には自分達のしつけに問題があった為、子どもが同性愛者となってしまったと思う親もあるでしょう。心理学や精神医学の分野では親の性格が子どもの同性愛指向の原因である場合があるいう理論がとなえられていた事もありました。支配的な女性や、権威の薄い男性、同性の親の不在がその原因であるなどといったものです。しかし、こういった仮説はどれも現代の心理学、精神医学の分野では認められておらず、大衆文化からこういった神話や誤解を拭い去る事というのも我々PFLAGの主な活動の一部なのです。

同性愛者は特別な家庭環境で育ったからといってそうなるものではありません。中には支配的な母親の下に育った子どももあるでしょうし、逆に支配的な父親の下で育った場合もあります。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルはいずれの場合も一人っ子である場合、末っ子である場合、真中の子である場合、また長男、長女である場合とさまざまです。家族の中に同性愛者がいる場合もあるでしょうし、全くいない場合もあります。その多くは世間でいう「一般家庭」出身者達なのです。

遺伝的、生物学的な何かが原因で同性愛者となると考える親もいます。同性愛と遺伝学に関する研究もなされてはいますが、同性愛の「原因」について決定的な発見はいまだありません。れっきとしたデータはありません、しかしなぜその原因を知る事がそんなに重要であるのかという疑問をまずは自分に尋ねてみませんか。

原因の追求や解明が親の子に対する愛を左右するものなのでしょうか。異性愛者達にも同性愛者と同様にその指向の正当性が求められるのでしょうか。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルの人たちはあらゆる宗教、国籍、人種的背景をもっているのです。つまり全ての同性愛者は異性愛者と何ら変わりはないという事であり、性というのは多様なものであるのです。興味深いことではあるかもしれませんが、あなたが子どもを愛する為になぜに同性愛者であるかを知るのは実のところそう重要な問題ではないのです。


●どうして我が子の性的指向を理解できなのでしょう?

その不安は文化のもたらすものであるといえます。同性愛嫌悪は私たちの社会において簡単に意識の中から消し去れないほど定着してしまっている考えです。同性愛嫌悪が存在する限り同性愛者とその親たちは深刻な恐れと懸念に苛まれます。

リベラルであると自負しており、さまざまな差別意識も乗り越え同性愛者の友人がいるような親の場合は、理解出来ない不安、不快感を感じてしまいそれが良心の呵責となるケースもあります。そんな親たちは「我が子」が同性愛者であるという事実に不満を感じて初めてその事実に驚愕するのです。社会的背景から植え付けられた固定観念に打ち勝つだけではなく、こういった親の場合はさらに「そんな風に感じるべきではないのだ。」という思いに悩んでしまいます。

この場合大切なのは、まず我が子にとって今何が一番大切であり必要なのかを考える事に専念することが救いとなります。出来る限りこういった罪の意識にとらわれすぎないようにしてください。それは根拠のない事であり、あなたにとっても、子どもにとっても何も得る事にはならないのですから。


●心理学者や精神科医に相談するべき?

子どもの性的指向を変える事を期待してセラピストにかかるという事は無意味なことです。同性愛というのは病気ではなく、「治癒」すると考えるべきものではないからです。これは自然なことなのです。

ただし、同様の経験をもつ家族の事情や性的指向に関して経験豊富な人物に相談するのは良い事であるといえます。親であるあなた自身が抱えている不安や思いを誰かに話す事はとても大切なことですから。カムアウト後の親子間のコミュニケーションの手助けが必要な場合もあるでしょうし、子ども自身の精神的安定の為にそういった時間が必要とあなたが感じる場合もそうです。


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